~博物館・美術館見学ノート~
『リニューアルオープン記念展』
福岡市美術館
福岡市美術館で開催中の『リニューアルオープン記念展』に行ってきました
福岡市美術館は市立美術館です(運営:福岡市教育委員会)
ル・コルビュジエに西欧近代建築を学んだ日本近代建築の巨匠、前川國男氏設計の建物をリニューアルし、2019年3月21日にオープン。現在、 約16,000点の収蔵品の中から、代表的な作品約300点を展示中です
サルバドール・ダリ、ジョアン・ミロ、マルク・シャガール、アンディ・ウォーホルといったスター的作家の作品、古美術のコレクション、アジアの仏教美術、九州古陶磁など、広々とした建物の1階~2階、コレクション展示室、ギャラリーA~Fに、バラエティ豊かな作品がゆったりと展示されています
開催期間:2019年3月21日(木)〜5月26日(日)
https://www.fukuoka-art-museum.jp/
一部の展示室では、写真撮影も可能で、重要文化財の「泰西風俗図屏風」も撮影可能な展示室にありました
(桃山~江戸時代 17世紀 福岡市美術館 黒田資料)
西洋絵画風ですが、伝統的な日本の絵画に西洋的な陰影法や遠近法を導入した「近世初期洋風画」と呼ばれる絵画です。 桃山時代にイエズス会がキリスト教の普及を目的として制作させたことから始まり、西洋の風俗画のようでありながら、背後にはキリスト教的主題が隠されているそうです
図録には、283点がオールカラーで紹介されています
見どころ満載でしたが、特に印象に残り、ポストカードを購入した作品は、マルク・シャガールの『空飛ぶアトラージュ』です
(1945年 福岡市美術館)
アトラージュとは、そりのことで、雪の街を見下ろしながら空を翔けるそりが描かれています
ユダヤ系の家庭に生まれたシャガールは、第二次世界大戦中に、亡命先のアメリカで故郷へのナチス侵攻を知りました。『空飛ぶアトラージュ』は、病気で妻も失ってしまったシャガールが、終戦の年に、絶望の淵から再起を期して描いた作品で、妻や苦しんだ人々の鎮魂の想いと平和への希望が込められているそうです(図録『福岡市美術館ザ・ベスト』p9)
新元号も「令和」という平和への願いが込めらたものになりましたが、戦争を知らない私たちも絵画を通して歴史に触れる体験からも、平和への想いを受け取ることができますね
美術鑑賞は、美術を通して、作品が生まれた時代背景や社会の様子、その時代に生きた人々の想いに触れることができるという面でも勉強になります
~覚え書き~
☆福岡市美術館は福岡県福岡市中央区にある市立美術館(運営:福岡市教育委員会)
☆ル・コルビュジエに西欧近代建築を学んだ前川國男氏設計の建物を2019年3月21日にリニューアルオープン
☆サルバドール・ダリ、マルク・シャガール、といったスター的作家の作品から、古美術、仏教美術、九州古陶磁など、バラエティ豊かな約16,000点を収蔵
☆「近世初期洋風画」と呼ばれる絵画は、桃山時代にイエズス会がキリスト教の普及を目的として制作させたことから始まり、背後にはキリスト教的主題が隠されている
☆今回、特に印象に残った作品は、マルク・シャガールの『空飛ぶアトラージュ』。絶望の淵から再起を期して終戦の年に描いた作品で、鎮魂の想いと平和への希望が込められている
~ミュージアムカフェ情報~
福岡市美術館には、国の登録記念物となっている大濠公園の広々とした景色を楽しめるミュージアムレストラン「プルヌス」があります
おすすめは、塩パンのサンドウィッチ
このレストランのために特別に焼いて届けられる塩パンに、チキン・ベーコン・野菜がサンドされています
野菜もフレッシュで美味しいですが、ほんのり塩味のついて歯ごたえあるパンがとても美味しいですよ