~博物館・美術館見学ノート~

『ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代』
国立西洋美術館

国立西洋美術館で開催中の国立西洋美術館開館60周年記念『ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代展』に行ってきました


2019年2月19日(火)~2019年5月19日(日)
https://lecorbusier2019.jp/

国立西洋美術館は独立行政法人国立美術館が運営する美術館です

ル・コルビュジエ(1887-1965)が設計した本館はユネスコ世界文化遺産に登録されています

この展覧会は、ル・コルビュジエ(本名:シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ)が、故郷のスイスを離れ、パリでピュリスム(純粋主義)運動を推進していた時代、約10年に焦点をあて、ル・コルビュジエと友人たちの美術作品約100点や建築模型、出版物、映像など多数の資料で構成されています

ル・コルビュジエが世に出た時代の精神を彼自身が作り出した建物の中で体感できる特別な展示会となっています


ジャンヌレ(コルビュジエ)は、第一次大戦終結直後、画家アメデ・オザンファンと親交を深め、機械文明の進歩に対応した「構築と総合」の芸術を唱えるピュリスムの運動を始めました

1918年に「ピュリスム宣言」。1921年には、連名で論文「ピュリスム」を発表しています

会場にはオザンファンの作品も展示されていました

絵画制作に取り組みながら新しい建築の創造をめざしたジャンヌレは、1920年代、パリでキュビズムの芸術家たちとも連携を深め、キュビズムの創始者たちが既に「構築と総合」の芸術を実現していたことを悟り、絵画にも建築の造形にも影響を受けました

会場では、キュビズムの作品も多数展示されていました

ピュリスム運動は1925年に終焉を迎えますが、建築家としての知名度は高まっていき、コルビュジエは近代建築の第一人者として国際的な名声を得ます


コルビュジエは、その頃から絵画の展覧会出典はやめましたが、絵を描かなくなったわけではなく、毎日午前中にデッサンと絵画制作に取り組むことを習慣として続けていたそうです

ピュリスム以降のデッサンと絵画には、ピュリスム時代には見られなかった自然の風景や女性像が加わるようになり、それは「幾何学的な秩序」に代わって「人間と自然との調和」が新しいテーマになったことを物語っているとのこと(図録『ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代』p209)



購入したポストカードは
「多数のオブジェのある静物」シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ(ル・コルビュジエ)(1923年 ル・コルビュジエ財団)
「魚、瓶、コンポート皿(小さなキッチン)」パブロ・ピカソ(1922年 群馬県立近代美術館)

キュビスムの色使いと比べて、伝統的に受容されやすいパステルカラーを用いたピュリスム


~覚え書き~

☆国立西洋美術館は開館60周年。独立行政法人国立美術館が運営する美術館で、ル・コルビュジエが設計した本館はユネスコ世界文化遺産に登録されている

☆都市計画でも知られる近代建築の第一人者ル・コルビュジエは、スイスに生まれ、主にフランスで活躍した

☆第一次大戦終結後コルビュジエは画家アメデ・オザンファンと親交を深め、ピュリスム運動を開始。自分たちを「ピュリスト」と呼んだ

☆ピュリスム運動は1925年に終焉を迎えるが、コルビュジエはデッサンと絵画制作に取り組むことは習慣として続けていた。ピュリスム以降のデッサンと絵画には、「人間と自然との調和」というテーマを読み取ることができる

~ミュージアムカフェ情報~

国立西洋美術館には「カフェすいれん」があります

ル・コルビュジエ ランチプレート


2階へ続くスロープや三角のトップライトなど、ル・コルビュジエが設計した国立西洋美術館を表現しているそうです